【完】麗しの姫君
あの雨の日から約1週間。
向井姫。
やっぱり風邪を引きました。
あの夜さっそく熱が上がって、ヒーヒー言ってました。
でも、パパの手厚い看病のおかげで、心も身体もピカピカ元気。
今日から学校へ登校します。
で、新たに加えられたのが。
「お嬢様、お支度は整いましたか?」
「うん、ありがとう」
ワタリドリの送迎。
今までもパパはつけたがっていたんだけど、私が嫌がってつけなかった送迎。
今回ばかりはパパの圧力のこもったスマイルにやられました。
というわけで、ワタリドリとの毎日が始まります。
ワタリドリ、ワタリドリ。
なかなか手強いワタリドリ。
「お嬢様、なにかございましたらすぐご連絡くださいませ。すぐに飛んでまいります」
「…ありがとう。でも、パパの補助はいいの?」
「…………」
あれ、聞いちゃまずかったか?
「向井副社長の補助は、私の他にもたくさんいらっしゃいますので……」
「あー、そっか。……で、ワタリドリは私と1番仲良しだから、抜擢されたんだね」
どうよ?
「!…はい、渡は嬉しゅうございます!」
単純だなおい。