【完】麗しの姫君
「ご馳走様でしたー」
「はい、お粗末様でした」
今日の朝ご飯はお味噌汁に、卵焼き、ホカホカ炊きたてご飯に、納豆!
納豆ご飯は外せないのだ、これが。
体にいいし、美味しいし。
現代のお姫様は朝から納豆ご飯。
斬新。
「姫ちゃん、片付けておくから、そろそろ用意しておいで」
「わ、本当だ、ありがとう」
いつもパパに言われてでないと、時間を忘れてしまう。
これといってメイクするわけじゃないけれど、毎朝鏡の前に立つのは絶対。
鏡の前は、キラキラ輝くお姫様タイム。
ママ譲りの顔立ちに、パパと同じサラサラの髪。
リップをぬって、髪をといて。
制服のリボンを整えて。
「よしっ、完成」
今日も頑張ろう。
「姫ちゃーん、用意は出来たー?」
「はーい!今行きまーす」
階段を駆け下りて、私を待つ王子様、…じゃなくて、パパの元へ。
「パパ!」
「っと、姫ちゃん、危ないから走るの禁止」
「はーい、ごめんなさい」
「ふふ、ほら、靴はいて?」
「うん」
ふわっと抱き上げられて、玄関にあるソファーに座らせられる。
朝からお姫様になったみたい。
お気に入りの靴をはいて、さあ、今日も向井姫の1日が始まります。