【完】麗しの姫君


「姫、今日ティールーム行く?」


「あー、どうしようかな…」


いつもは大好きなお茶の時間も、今日は憂鬱。


「行きたくないなら、無理する必要ないのよ。ここでお茶しましょう」


「そうだよ、姫」


「うん…」


そう、しようかな…。


「じゃあ恵斗様の執事っぽいくりりん呼んじゃいましょーう」


「…ぽいじゃなくて、執事でしょーが」


「えへ」


「…2人とも、…ありがとう」


「「………」」


「いいのいいのー、くりりんのお茶美味しいから飲んで欲しかったんだよー」


「お手並み拝見ね」


「…お茶の師範の瀬菜に言われるとちょっと不安ーなんちゃってー」


…いい友達、持ったなぁ。


2人とも、大好きだよ。


ずっとずっと、友達でいようね。


そう言えば、ずっと気になってたことが


「恵斗、…くりりんって、なんて名前なの?」


「それは私も聞きたいわ」


小さな時から恵斗と一緒にお世話してもらってるのに、名前知らない。


「えー?くりりん?……私も知らないや」


「「………」」


…ずるっ


「まじでか」


「恵斗らしいっちゃらしいわね」


「うーん、なんだったっけかな。聞いてみないとねぇ」

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