【完】麗しの姫君
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「名前、ですか。…栗田でございます」
「「「おー」」」
「…随分今更な気がしますが。覚えて頂けると幸いにございます」
「ごめんごめん、くりりーん」
「恵斗お嬢様、私は貴女様のこれからがいっそう心配になりました」
「大丈夫、多分大丈夫!」
「………」
「くりりん大変だね」
「同情します、くりりん。てか姫、大変だねって、あんたのお目付役もたいがい大変だと思うわよ」
「えー?ワタリドリ?」
「そう呼ばれてる時点で気の毒」
「ワタリドリ、ワタリドリ、……思い出した!今日から送迎だったんだ…送りだけじゃないよ…」
「あら、ついにデビューね?」
「嫌だったのに、パパがどうしてもって…」
「…恐れながら、それは当然のことかと」
くりりん、珍しい。
「当然?」
「はい。姫お嬢様も、お年頃です。そして向井副社長の大切な1人娘でいらっしゃいます。世の中は大変危険が増えておりますから、なにかあってはと、お父上も心配しておられるのだと私は思います。…親心ですよ」
「…親、心」