【完】麗しの姫君
「……楽しそうだね」
「……へ?」
今、なんと?てか、誰?
恵斗と2人、ネジを巻かれたロボットのように、教室の扉の方へと恐る恐る振り向いた。
「!」
「わぁおー」
なんでここにいるのー!
「…眼鏡先輩、か。それって誰のこと?」
いやいやいや、気付いていらっしゃるでしょうに。
「………」
「姫?」
「………」
「ね、姫、連れて行くよ?」
「「は、はい」」
んなーー!!
うん、気持ちはわかるけどさ、そこは抵抗感してよねー!
「行くよ」
「!っわ、」
強く握られた、手首。
ちょっと痛いよ、先輩。
廊下を歩くスピードも早くて、足がもつれてしまう。
「…せん、ぱ、待って…」
言ってしまえば、私病み上がりなんですけどね⁈
えぇ、知りませんよねそんなこと。
…心なしか、先輩の背中が怒ってる。
…なに、言われるんだろう。
迷惑、って?勘違いするなって?
…すごく、怖い。