【完】麗しの姫君
「どうして構うのか、そう聞いたよな?」
「はい…」
そう、結局私が知りたいのは、それ。
「……俺さ、基本的に冷めてるのね。だから、女に対しても、気が向いた時しか相手にしないし、好きとか可愛いとか考えたことも思ったこともないわけ」
「………」
「ちょっと視線が冷たい気がするんだけど、気のせい?」
「…はい」
「………で、ある日、…4月の後半くらいだったかな、周りの男達が騒ぎ出したわけだ。1年に可愛い子がいるって。でも俺はどうでもよくて、気になんてかけなかった」
可愛い子、ねぇ。誰だろ。
「…なんだけど、それから少し経ったある日、廊下を歩いてたら、その可愛いって噂されてる女の子が、俺のクラスのやつに告白されてるのを見つけたのね。で、見事にあっさりふられてる姿を見て、切ないなぁなんて思ったりして、そのまま見続けてたら、その子と目が合ったんだ」
ふむ、それで?
「で、やっぱり盗み見てたわけだし、やばいと思って焦ったんだけど…その子、明らかに気付いてるのに、死ぬほどウザそうな目付きで俺の存在流したんだよな」
「………」
なんだろう、胸が痛い。