【完】麗しの姫君
「それで究極に悩んでた時が、あの雨の日、……姫を見つけて、…どうしても、どうしても、抱き締めたくなった」
「!」
「…すごく辛そうで、苦しそうで、…俺が守りたいって、強く思ったんだよ」
「…本当、に?」
「嘘なんてつかない。……あの日姫が帰ってから、めちゃめちゃ落ちてたんだよ、俺」
「う、ごめんなさい…」
「いや、姫は悪くないよ。…どっちかっていうと、俺が悪いし」
…なんだろう、少しずつ心が軽くなってる。
先輩の心が見えなくて、わからなくて、ずっとモヤモヤしていたけれど、心がぱーっと晴れて行く。
伝えるって、向き合うって、大切なんだな…。
「…俺は、不器用だし、優しくないし、嫌になるかもしれない。……でも、大切にする。全力で姫を笑顔に出来るように頑張るよ。…だから、そばにいて欲しい。……向井姫さん、好きです。他の誰よりも。…俺と、付き合ってください」
「……っ、……ひっく」
…どうしよう、泣きすぎて喋れない。