【完】麗しの姫君
だから、私もしっかり向き合おう。
ぐんと前へ、踏み出すよ。
「………先輩?」
「ん?」
「私、わがままだし、…お姫様になりたいとか言っちゃう変な子だけど、…嫌なところ全部直します。…だから、…そばに、いさせてください」
「…うん。…俺は、わがままでもなんでも、そのままの姫が好きだよ」
「…っ、え、えと、あの、……先輩が、大好きです」
「…、俺も、大好きだよ」
それは一瞬。
気が付けば、先輩の腕の中に包まれて。
強く強く抱きしめられて。
心までぎゅっと抱きしめられているみたい。
幸せ、幸せ、幸せ。
「…お姫様はいつもこんな気持ちだったのかなぁ」
「…気持ち?」
「王子様に出会えて、幸せって」
「…姫は、今幸せなの?」
「うん。幸せ。お姫様になったみたい」
「…なったみたい。じゃなくて、お姫様だよ、俺の」
「…!」
先輩、顔真っ赤ー!
今、今、なんて言った⁈
「…やば、俺今めちゃめちゃ恥ずかしいこと言った」
「ふふ、先輩顔赤いよー」