【完】麗しの姫君
「あれよね、姫って見た目と中身のギャップがありすぎるのよね」
「…いきなりなに」
「だって、今日もあんたのこと白雪姫たら眠り姫たら言って、騙されてる男がいたんだもん」
「勝手に騙されてるんでしょーが。…私はなんにも悪くないっつーの」
「…あんたパパの前と男子の前での態度の差が激しすぎんのよ」
「別に、男子と喋ることなんてそうそう無いし。てか必要無いし」
「…出た。知ってる?あんたのファンが、なんて言ってるか」
「?…なんて言ってるの」
「向井さん、友達と喋ってる時は華のように笑ってるけど、男子の前では氷のような冷たい美しさが漂うんだよな。…そのギャップがいいんだよ」
「………うざーい」
「…なに言ってんの。姫はなにしても許されんの。わかってる?普通はあり得ないっつーの」
「ふーん」
「コイツ…」
「もういいじゃん、その話はさぁ。…ティールーム行こうよ」
「…それもそうね」
「今日のお菓子はなにかなー」
今日のこのティータイムが、私のこれからの全てを変えてしまうなんて、思ってもいなかった。