恋
タブーのはじまり
今年の冬は厳しいらしいとニュースでも言っていた。
雪こそ降らないけれど毎日空は鉛色で、かれこれ一週間ほど晴天というものにはお目にかかっていない気がする。
年明けの大学は試験期間だ。他の大学もなのかは知らないけれど、私の通っている大学はそう。
普段はどっちが本業? と疑いたくなるほど遊びを謳歌している学生たちも、図書館だったり空き教室だったりで机にかじりついている。
ノートのコピーはいつの間にか見知らぬ他人の元まで渡り、嘘か本当か分からないような試験問題予想までもが出回っている。
それに食いつくのも一興ではあるけれど、結局は地道な勉強が一番だと私と彼は思っている。
「図書館で勉強すっか」
「そうだね」
彼氏の超絶健全なお誘いに素直に頷き、私たちは講義棟から外に出た。
途端に吹き付けるのは北風。さっきまでホカホカだった体があっという間に凍りつきそうになる。
「肩こるぞー」
身を縮こませた私の肩を、彼の大きな手が抱き寄せる。
構内でこんな大胆なことするのは珍しい。
冬の寒さにちょっとだけ感謝だ。
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