恋
背中に問いかけ
あれから一ヶ月。
試験期間も終わり、大学構内はまばらだ。
だけど、まだ講義があるものもあり、私たちはたまに出てきては空いた時間を一緒に過ごしていた。
学生たちが集まるのは、食堂や売店、図書館が多い。
空き教室は一集団いると他の人はあまり入ってこないので、恋人同士には人気があるスポットだ。
私達もご多分に漏れず、空き教室の窓際を陣取って話していた。
「じゃあ、これは分かる?」
彼の指が私の背中を伝う。
右から左へ、上から途中で円を描いて下へ。
「す?」
「うん、正解。で、これ」
今度は先程より横の線が多い。
「き」
「続けて読むと?」
「すき? ヤダ、浩介くん」
「はは」
振り向いて彼を顔を見ると、照れたように笑っている。