二人のカンケイ

 三月、大学はもう春休み。

構内で偶然夏木くんに会うこともなく、私たちの関係はどうにもこうにも動いていない。


「待った? 芽衣子」


待ち合わせのファーストフードに入ってきたのは、彼氏の浩介くんだ。


【あなたより好きな人が出来ました。それはあなたの親友の夏木くんです】


言えない一言をいつも胸に秘めたまま、私は彼との逢瀬を続けている。

それでも自然と態度には出てしまうのだろう。
手を繋いだりとかキスをしたりとか、そういったスキンシップは減った。
私のぎくしゃくした態度がそうさせているのだと思う。


「今度どこか行こうか」

「……うん。そうだね」


デートの約束もいつも生返事になってしまう。

こんなこと続けてちゃいけない、……けど、どうしたらいいか分からない。
だって浩介くんと夏木くんの間までおかしくなってしまう。


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