恋
恋が自分で止められるなら
まるでここだけ時が止まってしまったかのように、私も、浩介くんも、夏木くんも身じろぎ一つしない。
匡深さんは、気まずそうに私と浩介くんを見て、夏木くんは俯いたままだ。
沈黙を破ったのは、私たちを後から追いかけてきた寧々だ。
肩で息をしながら、私の隣にまで来ると「ちょっとどういうことぉ」と大きな声で不平を漏らした。
夏木くんが、私の方を向く。
久しぶりにまっすぐに見られて、脳天から足元にかけて電気が走ったみたいにビリビリする。
だけど、私が期待した言葉はやってこない。
彼はふっと笑うと私と浩介くんを見てぽそっと呟いた。
「やっぱ、その方が合ってる」
そして隣にいる匡深さんの肩に手を伸ばして続けた。
「……こういうことだから。ごめんな」
「そっ……」
“そう、わかった”とも、“そんなの嫌”とも言えなかった。
彼の言葉の意味が理解できない。