恋
新緑、盛夏、そして秋
季節は新緑を迎えていた。時の流れはとどまることが無い。
私の気持ちがどんなに停滞していたって、お構いなしで進んでいってしまう。
「芽ー衣ー子っ」
「……寧々」
「私、サークルの勧誘受けちゃったよ。まだ一年生に見えるのかな。初々しい?」
にかっと笑うとえくぼが出来る。
いつもは気にしているそれを、わざわざ話のネタに振ってくるのは私に気を使っている証拠だろう。
「寧々は若いよ」
「若さで言ったら芽衣子だって同じじゃん。ねぇ、一緒にサークルはいんない? バドミントンだって。芽衣子やったことある?」
「無い。私、運動は無理だよ。苦手だもん」
「じゃあマネージャーとか。……ね、なんか新しいことしようよ」
「うん。でも……」
寧々が、心配してくれるのはありがたい。だけど、そういう気分になれない。
前を向くことなんて今は……。
自然に零れるため息。
今日はもう何回目?
「夏木くんのことなんてもう忘れなよ」
声が厳しくなって顔を上げると、寧々の顔つきが変わっている。
私、怒らせた?