ねぇ。どうしてそんな風に怯えるの?

あなたが選ばれたのに。
私がとても好きになった彼に選ばれたのはあなたなのに。

もっと自信満面で私に敵わないと思わせてよ。


私が好きで半年も一人でいると思っているの?

忘れられないから。

誰といても夏木くんを思い出すから。

誰かを傷つけるくらいなら一人のほうがいいと思うから。

だからずっと一人でいるのに。




「でも、聞いたのはあなたよ?」

「夏木はあたしと付き合ってんだから! いい加減忘れてよ」

「私だって忘れられるものなら忘れたいよ? でも忘れられないんだもん、仕方ないじゃない。どうして想ってていけないの? 私、あなた達の邪魔なんかしてない」


なんでこんな強気な発言ができるんだろう。
自分でもびっくりする。

私は半年の間何もできないままじっとしていたんだと思っていた。

だけど違う。ひたすらに自分の気持ちと向き合ってきた。
向き合ってきたからこそ、それを否定するようなことはできない。

たとえ彼女にどんなに強気に出られたって……


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