恋
「お願いだから伏木とヨリ戻して」
次の匡深さんの行動は、予想外だった。
咄嗟に地面に膝を付き、土下座したのだ。
「え? あの?」
「でなかったら別の彼氏作って。お願いだから、もう夏木のこと忘れて」
「やだ、顔をあげて」
「お願い」
どうしてなの。あなたはこの半年間彼の隣で幸せそうに笑っていたのに。
なぜそんな悲鳴のような叫び声をあげるの。
「でないと私の言葉が嘘になる」
彼女の言う言葉の意味はわからないけど、必死さだけは伝わってくる。
でも、泣かれても謝られても頼まれても。
私にだって退けない想いというものがあるのだ。
「どういうこと?」
尋ねた声に、彼女はまだ頭をあげない。