恋
……何考えてるんだろう、私。
私の彼氏は浩介くんだ。
まして夏木くんは彼の親友なんだから。
心が動いたとかそんなの一過性のものだ。
そうじゃなきゃいけない。
「浩介くん」
「んー?」
「……好き」
「なんだよ、芽衣子。どうした?」
言葉にすれば、思いは増えるような気がして。
彼の指先をきゅっと掴みながら、何度も言葉にならない声で呟いた。
すると彼は立ち上がり、私の腕を取った。
「ちょっとこっち」
「え?」
そのまま図書館の外に連れ出される。
上着を持って来なかったから、ものすごい寒さに凍りつきそう。
「浩介くん、荷物置きっぱなし」
「いいんだよ、すぐ戻るから」
「でも」
「こっち」
強い力で図書館の裏手につれてこられ、そのまま壁際に押し付けられる。