thermos flask
「部長に言った方が、私はいいと思う。」
未来がはっきりとした口調で言った。未来の意見は、正しい。でも、心のどこかで、引っかかるものがあった。
「私は、このまま黙っておきたい。」
千鶴がか細い声で、それでも力強く言った。彼女は、あまり自分の意見を口に出さない。だから、驚いた。未来も私と同じような表情をしていた。
「・・・・私も、千鶴に賛成。大会前にこういう問題は表に出すべきじゃないと思うわ。」
麻紀が苦笑いしながら言った。自分の中で引っかかっていたものが何か、わかった気がした。少しの間、沈黙が続いた。
「さゆきは、どうしたい?」
未来が私の顔をまっすぐ見ながら言った。ほかの3人も私を見ていた。