thermos flask
「命中率があがってきたね、なんていう褒め言葉をこの時期にいただくなんて、恥ずかしいと思わないの?」
宮間とその取り巻き数人が、千鶴を取り囲んだ。慌てて助けに行こうとする私と、千鶴の目があった。
彼女は、目を閉じて少しだけ顔を横に振った。一歩踏み出した足が止まった。
「ごめんなさい。」
「誤れば済む問題かしら?あなた、今の状況わかってるのかしら?意識が足りないんじゃない?それでも出場メンバーの一人?」
宮間たちがくすくすと笑っている間、千鶴はずっと下を向いていた。今にも、勝手に動いてしまいそうな体を制しながら、その様子をじっと見ていた。