thermos flask
「そういえば、出場メンバーに選ばれたんだろ?」
幸兄は自分の事のように嬉しそうに笑って、私の頭をわしゃわしゃとなでた。
裕兄を見るとおめでとうと言いながら、にっこり微笑んでくれた。すごくうれしかったけど、ほんの少しだけ照れくさかった。
「ありがとう、よーし練習頑張るぞ!!」
「おぅ、頑張れ!!
いろんなもの抱えきれなくなったら、少しくらいは持ってやるから。」
幸兄は手を止めてそう言った。裕兄は、微笑みながら、うなずいた。
私は、ギュッと唇をかんだ。
かまなければ、涙も今思っていることも、全部吐き出してしまいそうだったから。
軽く息を吸って、のど元までこみあげてきたものを全部飲み込んで。
にっこり笑って、ありがとうと言った。
私には、二人がいる、一緒に背負ってくれる人がいるって、強く感じた。