ドメスティック・エマージェンシー

携帯に手を伸ばし、電源を入れる。
すぐに着信と受信が届く。
まずは受信箱を開き、目を通すと迷惑メールと葵から連絡が入っていた。

《大丈夫か？》

一言だが、心配性の葵のことだから色んな意味が込められた言葉なのだろうと解釈する。

葵は私の家を知らない。
教えていない、こんなとこに近寄らせたくなかったのだ。

もし、葵が私の家を知っていたら来たのだろうか。
少しだけ気になる。
賢い葵だから来ないかもしれない。
だけど、葵は時折本能のままに動く時があった。

想像出来ない未知の人。
だからこそ好きなのかもしれないと一人笑む。

大丈夫だよ、と一言返し着信履歴を開き驚いた。

有馬から電話があったみたいだ。