ドメスティック・エマージェンシー
翌日、学校へ行くとみんなの様子が可笑しかった。
私から目を逸らし、そのくせ特に奇怪な行動をした訳でもないのに奇妙な目で見られた。
もとより友達と呼べる人はいないため避けられることに傷つきはしなくても、思い当たる節がなく気になった。
授業中、ノートへ黒板に書かれたことを書き出していると突如視界に丸められた紙が飛び込んできた。
一瞬ゴミかと思い辺りを見渡したが、こんなにも堂々と人の机にゴミを捨てる人はいないことに気付く。
首を傾げてから紙を広げ、私は絶句した。
言葉を失い、目を見張る。
――弟を盾にしたんだろ。
殴り書きで書かれたそれを潰すように丸めた。
息を潜め、もう一度視線を走らせる。
しかし、みんな生真面目な顔をして授業を受けていた。
言いようのない焦燥感と絶望感が押し寄せ、苛立ちが生まれた。
心臓が早鐘を打つ。
違う。
叫びたいのに、言葉は声として出なかった。
いい子の私がそれを阻止した。
もどかしい気持ちで授業が終わるのを待った。
同時に死刑台に立たされた囚人のような長い絶望を味わい続けた。
私から目を逸らし、そのくせ特に奇怪な行動をした訳でもないのに奇妙な目で見られた。
もとより友達と呼べる人はいないため避けられることに傷つきはしなくても、思い当たる節がなく気になった。
授業中、ノートへ黒板に書かれたことを書き出していると突如視界に丸められた紙が飛び込んできた。
一瞬ゴミかと思い辺りを見渡したが、こんなにも堂々と人の机にゴミを捨てる人はいないことに気付く。
首を傾げてから紙を広げ、私は絶句した。
言葉を失い、目を見張る。
――弟を盾にしたんだろ。
殴り書きで書かれたそれを潰すように丸めた。
息を潜め、もう一度視線を走らせる。
しかし、みんな生真面目な顔をして授業を受けていた。
言いようのない焦燥感と絶望感が押し寄せ、苛立ちが生まれた。
心臓が早鐘を打つ。
違う。
叫びたいのに、言葉は声として出なかった。
いい子の私がそれを阻止した。
もどかしい気持ちで授業が終わるのを待った。
同時に死刑台に立たされた囚人のような長い絶望を味わい続けた。