ドメスティック・エマージェンシー
第十四章
家族や葵の元から去って、三日が過ぎた。

携帯は未だ電源を落としたままだ。
きっと凄い量の留守番電話と、メールが来ているだろう。
それを見るのを私は恐れていた。

今、見てしまえば容易く帰ってしまいそうで。
あの檻の中に。
葵の優しさに、私は帰りたくて泣いてしまうかもしれない。

それを恐れ、携帯から意識的に離れるようになった。


久々に夕方を歩いた。
もうすっかり冬に馴染んでしまった日はオレンジ色に染まり身を隠そうとしている。

マスクがむれているのを不快に感じ、摘むとそこに冷風が忍び込んできた。

手に持った買い物袋を両手で挟んでこすり合わせる。

もうすっかり冬だ。
私にはまだ関係ないが、有馬の受験が近づいていた。

どうするつもりなのだろうか。






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