ドメスティック・エマージェンシー

「ねえねえ、こっち来てー！」

さっきよりも強く私の袖を引っ張るあいり。
あんまり目立った行動はしたくないものの、振り払うのも気が引け、しぶしぶ付いていく。
ゆうまと先生と呼ばれた女性がいた所よりも更に奥へ進む。

すると、子どもたちがいた。
遊具で遊んでいるあいりと同じ年くらいの子たち。

それと……中学生くらいの、男の子。

ギクリとする。
さすがに誤魔化せない。

「あいり……それ、誰」

メガネをかけた男の子は、私を冷たい目で見ながらあいりに聞いた。

対照的にあいりが無邪気な笑みで答える。

「お花のおねえちゃん」

「……そうか。あいり、おいで」

言われた通りに駆け寄り、あいりを庇うように男の子が前へ出た。