ドメスティック・エマージェンシー
第三章
私の体は動いている。
心はこんなにも重く、座り込んでしまっているのに体はまだ言うことを聞く。
「お母さん、お弁当……」
「ん」
母の拳から出てきたのは五百円玉だった。
どうやら今日もお弁当はないらしい。
昨日もなかった。
小さく、行ってきます、と呟きドアを開けた。
太陽の光が私に反乱を起こす。
どうにか外へ出て、家を見返す。
素っ気ない家は、私にかける言葉もないようだ。
有馬が学校を休む時、私にもお弁当はない。
お金を渡すのも嫌なのか一度「バイトしたら」と言われてしまった。
今探してるとこだ。
あの家では有馬が優遇なのだ。
何もない、平凡な私は、ならばあの人たちにはどんな存在なのだろう。
「三百五十六円になります」
店員さんの手に五百円を置き、引き換えにおにぎり二つと水が入った袋を手渡された。
お釣りを貰い、コンビニを後にする。
決心して家を出てきたのに、今更になって決心が駄々をこね始めた。
行きたくない。
『卑怯者っ』
言葉が蘇り、頭を抱える。
実際には心を抱えた。
心はこんなにも重く、座り込んでしまっているのに体はまだ言うことを聞く。
「お母さん、お弁当……」
「ん」
母の拳から出てきたのは五百円玉だった。
どうやら今日もお弁当はないらしい。
昨日もなかった。
小さく、行ってきます、と呟きドアを開けた。
太陽の光が私に反乱を起こす。
どうにか外へ出て、家を見返す。
素っ気ない家は、私にかける言葉もないようだ。
有馬が学校を休む時、私にもお弁当はない。
お金を渡すのも嫌なのか一度「バイトしたら」と言われてしまった。
今探してるとこだ。
あの家では有馬が優遇なのだ。
何もない、平凡な私は、ならばあの人たちにはどんな存在なのだろう。
「三百五十六円になります」
店員さんの手に五百円を置き、引き換えにおにぎり二つと水が入った袋を手渡された。
お釣りを貰い、コンビニを後にする。
決心して家を出てきたのに、今更になって決心が駄々をこね始めた。
行きたくない。
『卑怯者っ』
言葉が蘇り、頭を抱える。
実際には心を抱えた。