ドメスティック・エマージェンシー
「えっ?!」

あの男は、こういう感じの女の子が好きだったのか。
凄く可愛い。
だが無愛想、あのおちゃらけた男とは不釣り合いなくらいに。

……彼女がいるのに、私と同居していていいのだろうか。
いや、それよりも彼女は彼が殺人鬼だということを知っているのだろうか。

次々と疑問が浮かんでいく中、ぽつりとなおが「だった」と呟いた。
聞き逃すとこだった言葉を必死に捕まえ、見返す。

「だった……?」

「そう。かなさん、死んじゃったんだ」

息を呑んだ。
思考が停止し、体温が上昇していくのを脳内で静かに感じた。







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