ドメスティック・エマージェンシー
第十九章
茶の間に通され、有馬と待つ。
有馬は私をちらちらと見てはなにか言いたそうに口を動かしている。
どうしたの、と問うと肩を震わせた。
それでもしばらく言葉を発しない。
終いには俯いて、言いたいことから目を背けた。
「江里子」
だが、ようやく顔を上げ真っ直ぐに私を見据えた。
もうすっかり大人になった有馬の顔つきを見つめ返す。
「江里子、悪かった。お前に憎まれても俺は仕方ないと思う。だけど、今までのこと……どうしても謝りたかったんだ。ごめん」
あのプライドが高く、わがままで、人のことを考えられず、私を見下していた有馬が頭を下げた。
私を姉と認め、私に暴力暴言を当然のようにしていた有馬が……
目頭が熱くなる。
言葉が出ずに、ただひたすらに首を横に振る。
いいのよ。
ありがとう。
言いたいのに嗚咽しか出ない。
有馬は私をちらちらと見てはなにか言いたそうに口を動かしている。
どうしたの、と問うと肩を震わせた。
それでもしばらく言葉を発しない。
終いには俯いて、言いたいことから目を背けた。
「江里子」
だが、ようやく顔を上げ真っ直ぐに私を見据えた。
もうすっかり大人になった有馬の顔つきを見つめ返す。
「江里子、悪かった。お前に憎まれても俺は仕方ないと思う。だけど、今までのこと……どうしても謝りたかったんだ。ごめん」
あのプライドが高く、わがままで、人のことを考えられず、私を見下していた有馬が頭を下げた。
私を姉と認め、私に暴力暴言を当然のようにしていた有馬が……
目頭が熱くなる。
言葉が出ずに、ただひたすらに首を横に振る。
いいのよ。
ありがとう。
言いたいのに嗚咽しか出ない。