ドメスティック・エマージェンシー
「おばあちゃん、私……私は、あの人たちに好かれるために生きてきたの」

この世で唯一の両親に。
私を見て、私を受け入れてほしくて[イイコ]として生きてきた。

祖母と有馬はなにも言わずに私の話に耳を傾けた。
私は尚も話す。

「だけど、無理なことを知ったの。……ううん、ずっと前から本当はわかってたくせに、認めたくなかったの。認めたら、今度は憎んだ」

私を愛さない二人を。
私をこうも狂わせた二人を。
殺したくて、殺せなくて。
憎んで苦しんだ。

『感情は自分だけの宇宙なんだよ』

あのとき、葵が言っていた言葉が蘇った。
今なら理解出来る言葉。
有馬にも、ゼロにも伝えたい言葉。







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