ドメスティック・エマージェンシー
放課後、悪魔の従者たちが巣に戻って行くのをスパイのようにジッと息を潜めて待った。

ようやく私一人になった時、いち早く窓を全開にして中の汚れた空気を入れ換える。
そのまま思いっきり息を吸い込んだ。
肺いっぱいに貯まっていた汚い空間が洗われていくのを感じる。
吐き出すと、私の中は綺麗になった。

今日は終わった。
あれから特に目立ったことはされなかった。

鞄を持って、戦場を後にする。

帰るのも気が引けてふらふらと廊下を歩く。
にわかオレンジ色に染まった廊下に、私一人。
光の粒を一つ一つ確認するように歩いていると不意に担任に声をかけられた。

「遠藤、ちょっといいか」

黙って頷いて踵を返す担任の後を着いていく。
二人の足音と、私の心臓音が響く。

嫌な予感がした。







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