ドメスティック・エマージェンシー

「おばあちゃん」

祖母の昔より小さくなった背中に呼び掛ける。
なにも変わっちゃいないと思っていたが、当然のように祖母は年老いていってるのだ。

……ふと、寂しくなり抱き付くと小さな手が私の頭を撫でた。

「おばあちゃん。私ね、助けたい人がいるの」

「……うん」

優しげな声。
続けて、と言われてる気がして次々に言葉を綴っていく。

たくさんの辛いことを抱えている人のことを。
自分の素顔すら目を背けている人のことを。
生きながら自分を殺している人のことを。

――ゼロ。
誰よりも、孤独で、寂しい人。