ドメスティック・エマージェンシー
最終章
二度の訪問になる大阪は、まずお好み焼きの味を思い出させた。
「俺、大阪って初めてだなあ」
横で葵が呑気に呟いた。
私は二回目よ、とは言わずに聞き流す。
「墓参りしたら、観光しようね」
「うん」
前は出来なかったことを思い出す。
出来なくて良かったのだろう、思い出が出来ては辛いから。
彼が死んで一年。
あのあと、糸部に電話をして糸部にだけ事情を話した。
どうやったのかは知らないが、色々手続きをしてくれたのだ。
火葬をしてくれ、事件にピリオドを打ってくれた。
そして墓を大阪の……かなさんの横にゆうまの墓を建ててくれたのだ。
「俺、大阪って初めてだなあ」
横で葵が呑気に呟いた。
私は二回目よ、とは言わずに聞き流す。
「墓参りしたら、観光しようね」
「うん」
前は出来なかったことを思い出す。
出来なくて良かったのだろう、思い出が出来ては辛いから。
彼が死んで一年。
あのあと、糸部に電話をして糸部にだけ事情を話した。
どうやったのかは知らないが、色々手続きをしてくれたのだ。
火葬をしてくれ、事件にピリオドを打ってくれた。
そして墓を大阪の……かなさんの横にゆうまの墓を建ててくれたのだ。