ドメスティック・エマージェンシー
「おめえは何やってもブスなんだから退け」

私の手からドライヤーを奪い取り、それとも、と含み笑いを浮かべ額にドライヤーを突きつけてきた。

熱風が私の額に直撃する。
逃げようと後ずさると壁に追い込まれ、逃げ場のなくなった私が熱風を受け入れる形になった。

「俺がセットしてやろうか」

「あつっ……」

あまりの熱さに私は押し返す。
しかしそれをすればするほど有馬はグリグリと押し当ててきた。

「……あ、時間ねえ。お前と遊んでる暇ねえんだよ。消えろ」

ドライヤーで私の肩を押すと、何事もなかったかのように有馬は鏡に向かう。

ジンジンと痛み、熱を持つ額もそこに映り私は絶望した。

泣き出しそうになる。

グッと堪え、私は微かに笑った。
無言で立ち上がり、自室で服に着替え、カバンを持って家を出る。

学校へ向かう。

私は……[イイコ]なのだ――






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