ドメスティック・エマージェンシー
第四章
家族とは何なのだろう。
血が繋がった者同士を家族と呼ぶのか、否、それなら養子はどうなる。
血が繋がってなくても、家族なのだ。

家族とは、何なのだろう。


葵の腕の中は安心する。
何もかもを忘れてしまう、まるで夢の中のよう。
葵の手が布団から出てきて私の頭に触れる。
雪のように優しく舞い降りて、なのに雪より遥かに温かい体温。
大好きな葵の温もりに、頬が綻んだ。

「相変わらず、熱い手」

「まあ、平熱が高いからね」

そう言って、今度は私の左手首にキスを落とした。
焦ることはなく、セットがすっかり崩れた髪を撫で、私は緩やかに笑う。

「何で葵は……こんな私と付き合ったの?」

ずっと不思議だったことを聞く。
するとピクリと眉を動かした。
怒る前の前兆だ。
今度こそ私は焦る。

だけど、葵の次の言葉をジッと待った。





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