ドメスティック・エマージェンシー
第二章
私という存在は何なのだろう。
時折不思議に思う。
何故、生きているのか。
どうして人間なのか。
この家族の一員として生まれた理由は何なのか。
突拍子で、最果てなどないような疑問をふつふつと考えることがいつの間にか日課になっている。
冬独特の淡い水色の空を背景にしてそびえ立つ病院を眺めていた。
太陽を頭上に、病院には影が出来ている。
まるで絶壁を目の当たりにしているようで、深く息を吐き出した。
昨日、殺人鬼はいつの間にか姿を消していた。
憑かれたようにその場で立ち尽くす私を現実世界に呼び戻したのは母の悲鳴だった。
「有馬!ありまっ!」
騒ぎを聞きつけたホテルマンが一一九番に連絡するのを横目に、私には目もくれず有間に食らいついて泣く両親を冷めた目で眺めていたのを覚えている。
時折不思議に思う。
何故、生きているのか。
どうして人間なのか。
この家族の一員として生まれた理由は何なのか。
突拍子で、最果てなどないような疑問をふつふつと考えることがいつの間にか日課になっている。
冬独特の淡い水色の空を背景にしてそびえ立つ病院を眺めていた。
太陽を頭上に、病院には影が出来ている。
まるで絶壁を目の当たりにしているようで、深く息を吐き出した。
昨日、殺人鬼はいつの間にか姿を消していた。
憑かれたようにその場で立ち尽くす私を現実世界に呼び戻したのは母の悲鳴だった。
「有馬!ありまっ!」
騒ぎを聞きつけたホテルマンが一一九番に連絡するのを横目に、私には目もくれず有間に食らいついて泣く両親を冷めた目で眺めていたのを覚えている。