フシダラナヒト【TABOO】
ジャリっと音を立てる地面。この感触も今住んでいる街にはほとんどない。


高校卒業から10年を迎える冬、年末に企画された同窓会のため、私は地元に戻ってきていた。


同窓会の会場に向かう前、寄り道で訪れた母校。寒空の下、しんとした校庭をひとり歩く。



「上田?」

「水野、先生?」


後ろから呼ばれて振り返ると、懐かしい笑顔があった。担任だった水野先生。


「やっぱり上田か。久しぶりだな」

「10年ぶり、ですよね? 先生全然変わってない」

「またまた」

「本当に昔のままです」


驚くほど、その姿も声も笑顔も、私が密かに恋心を抱いていたあの頃のまま。

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