フシダラナヒト【TABOO】
「上田は綺麗になったな。一瞬分からなかった」


お世辞でも先生から聞く綺麗という言葉は嬉しくて、少し照れる。



「もう28ですから。化粧もしてますし」

「そうか、俺が担任してた時と同じ歳になるのか」

「え、先生って10歳上? じゃあ今38?」



10歳。

そんなものだったんだ。


先生は何を今更と笑っているけど、先生の歳を知らなかった私にとっては驚くべきこと。


だってあの頃の私は、先生はずっとずっと大人で、子供の私には手の届かない存在だと思っていたから。想いが叶うはずはないと恋心は自分の胸だけに留めていた。


だけど今は知っている。

28の自分がそれほど大人ではないことを。それこそ根本的な考え方や性格は18の自分と大差ない。38の今の彼氏だってそんなに変わらない。


10歳の年の差なんて……。



手が届かないというのは勝手な思いこみ。

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