フシダラナヒト【TABOO】


「ゆーちゃん!」


下校中に近所の公園のブランコから呼ばれ、驚いて駆け寄る。


「史くん、ママは?」

「ウチ」

「一人で来ていいって言われた?」


史くんはうつむいて黙る。

さては勝手に出てきたな。


「ダメでしょ」

「……ゆーちゃんだって。オレいいって言ってない」


確かに。人のこと言えない。朝のこと怒って待ち伏せていたのなら、私に彼を責める資格はない。


「そうだね。ごめんね」

「あしたは? オレといく?」


明日も彼氏と約束がある。


「ごめんね」



史くんは黙り込み、ブランコをギーギーいわせて強くこぎ始めた。

昨日みたいに駄々をこねると思っていたのに。

歯を食いしばった顔は見ていて切なかった。
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