フシダラナヒト【TABOO】
付き合う前は彼氏もこんなタイプだと思ってた。もの静かで優しそうで。でも違う。あれはただの無関心。きっと私が何してても気にしないんだ。

だから私も最初から気にせず隣で熱燗を飲めたんだけど。だから楽で離れられないんだけど。

結局私も、自らこのぬるま湯に浸かっているわけだ。



「物足りないって顔してる」

「え?」


草食系の瞳に見つめられてドキリとした。その強い視線にも鋭い言葉にも。


「足りないのはお酒?」


その言葉の後、耳元に近づいた顔。


“それとも男?”


一瞬の出来事。同時に頭に鳴り響くサイレン。


「あの、私……」

「物足りないんだったら付き合うよ」


それは、お酒に? それとも……。

< 3 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop