King of Dragon -龍王-
「……え、それじゃあ」
ぼそ、と呟いて、少し考えるようにした後、その少女は慌てて深々と頭を下げる。
「ご、御無礼をお許しください。助けて下さり、ありがとうございました」
「……別に」
たっぷり数十秒頭を下げた後、少女は頭を持ち上げてまた口を開いた。
「私、ノルエール=ユリアと申します。追われていた時に、足を踏み外して海に落ちてしまって」
ユリア、と名乗った少女は、そう言いながらベットから立ち上がった。
「……追われていた?」
ウィルが本に戻しかけていた視線をもう一度上げる。
ユリアは少しだけ目を泳がせ、意を決したようにウィルを見た。
「FFGに、です」
「!」
FFG。まさに、村長が名を上げていた組織の名。