King of Dragon -龍王-
ユリアは自分の手を胸に当て、ポツリポツリと言葉を紡いでいく。
「数日前、儀式があったのは御存知ですね?」
「ああ」
「実は私、その儀式で祭壇に上がっていた巫女なんです」
「!!」
「……私には、龍王を神の元へ無事にお連れする義務がある。だから、FFGの人たちは私が龍王の居場所を知っていると思っているんでしょう」
話を静かに聞いていたウィルが、そっと本を閉じた。
そのままユリアに向き直る。
「……まだ、見つかっていないんだな」
その問いに、ユリアは眉をハの字にして頷いた。
「はい。急いで見つけて護衛につかなくては……」
そういって、ユリアが歩き出す。