King of Dragon -龍王-
「枝に引っ掛けたらしいな。それより早く……」
軽く手を振ってまた前を向こうとしたウィルの手を、慌ててユリアが掴む。
「だ、ダメです!」
「っ……」
ユリアが掴んだのは怪我をした手で、ウィルは眉を顰めた。
それを見て、慌ててユリアが手を離す。
「あ……! ごめんなさい、でも、治さないと」
「時間が勿体ない」
その言葉に、ユリアは苦笑した。
「嬉しいですけど、それ、休憩してた人のセリフじゃないです。大丈夫ですよ、30秒で終わりますから」
「……」
反論できるはずもなく、それから黙ってウィルはユリアに任せる。