King of Dragon -龍王-
ユリアは目を閉じて、微かに口を動かしている。
暫くすると、ユリアとウィルの手、というより傷の周りが優しい光に包まれた。
ユリアが目を開き、ウィルの傷を見てそれを軽く撫でる。
と、一瞬だけユリアは不思議そうに首を傾げた。
「……キュア」
最後に言ったその言葉と共に、傷はみるみるうちに消えて行った。
それにウィルは少し目を見張る。
「できました!」
「……魔法か」
「ふふ、一応回復系の技だけ練習したんです」
微笑みながら言うユリアに、ウィルは何回か頷くと、
「どうも」
と礼だけ言ってユリアから離れた。