黄金時間が過ぎるまで
この学校の校舎は、H型に建てられていて、向かい合わせの職員室がここから丸見えだった。

怪しまれる事なく、堂々と偵察出来るという訳だ。

しばらくそうしていると、すぐに鍵の保管場所は分かった。

平松先生の机は窓際にあり、すぐ横の壁に保管するケースが備え付けられていた。

「あれか、あれか…でも平松先生の鍵がないと、あの箱は開かないのね…」

千歳が呟いた。

「うん…でもその鍵って、けっこー安直な所にしまってあるけどね」

「え?」

「ほら、机の上に妙な置物が置いてあるでしょ?」

と言って親指でクイと、その方を指した。

「あるね…」

「あの下に、こっそり入れてたよ」

「良く見てるね…」

「問題は、いつあの鍵を使ってあの箱を開けるかと…」

「持ち出した後、バレずに返す事でしょ?」

千歳が続けて言った。


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