黄金時間が過ぎるまで
「そうだ!」

千歳がガバッと起き上がろうとすると、鳴海の手がそれを止めた。

「たぶん軽いのーしんとーだと思うけど、そのままで聞いて下さい」

「はい…」

どうやら千歳は鳴海の膝を借りて、上向きに寝ているらしい…恥ずかし過ぎて目を閉じた。

「今、むこーで職員会議やってるとこ。授業開始まで10分くらいかな…」

千歳が気を失っていたのは、10分弱という所らしい…

「ずっと一人で、脱出方法を考えていたんだけど…」

「すみません」

「うん…大丈夫、この部屋見た限り、そこの出入り口しかないんだよね…」

二人が入って来た、職員室とつながっている扉を指した。

「この先、先生達が全くいなくなるのは、学校閉まる時だと思うんだよね」

「全くその通りだと思う…じゃ、それまで、ここに隠れてなきゃならないって事?」

「いやいや、そーゆー訳にはいかないでしょ、今日期限のレポートとか出さないと」

「ああ…そんなの、あったね」

「という訳で、少なくとも10分以内に、ここを出ようか?」
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