黄金時間が過ぎるまで
「…どうやって?」

「昔、聞いた事があるんだ。職員室から放送室まで、部屋の中で行き来できるように作ってあるって…」

「え、でもそんな扉、見あたらないけど…」

「いや、あるはずなんだ、たぶんあそこら辺に…」

と言って、窓際の棚を指した。



「…あった」

二人は小声で叫んだ。

大きな棚の書類をどけると、茶色い扉が顔を出した。

二人して、静かにノブの近くの書類を別の空いている棚に移していく…

鍵がかかっていたが、幸いこちら側から手動で開けられるようだ。

″ガチャ″と鍵が開き、鳴海がノブを向こう側へ押した。

外開きだ…

もし内開きだった場合、この棚を退かさなくてはいけない所だ。

「さぁ、先にどうぞ」

鳴海が下の棚のプリントを、人がくぐれるぐらい退かした。
すると隣の部屋と、こちらがポッカリとつながった…

先に千歳を通すと、鳴海も後に続き…上半身だけもう一度印刷室に戻ると、床に置いてあったプリントを棚に戻して顔を引っ込めた。
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