黄金時間が過ぎるまで
すかさず、千歳は扉を閉めた。

「フーーー」

二人は背中合わせにしゃがみ込むと、一気に緊張を解いた。

「やったね…脱出成功」

「ははは…」

鳴海は笑って答えた。
時計を見ると、授業開始まで数分あった。

「ここ…進路指導室だね…ここから出る?」

千歳が聞くと、鳴海は冷静に答えた。            

「いや…ここは鍵がかかっている所だし、マズイかな…」

「隣の部屋って確か、生徒会室だっけ」

「そっちの方が出やすいと思うよ」

「そうだね、生徒会長アバウトな人だし…」

「知り合い?」

「…うん」

「ま、そういう事なら千歳さんに、後のフォローは任せるとして、急ごうか?」

「うん」

進路指導室から生徒会室に行く扉は、すぐに見つかった。

誰もいない生徒会室に入ると、鍵はかかっていなかった。

「君の知り合いが、アバウトな人で良かった…」

「それはイヤミかい」

「ところで突然なんだけど…ヤボ用が出来たから、このままサボります」

「ええ?!」


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