黄金時間が過ぎるまで
〜鍵〜その3

放課後…千歳は鳴海の荷物を回収すると、その足で屋上に向かった。

急いで階段を上がったので、息が上がる…

五階に差しかかった時、頭上から声がかけられた。

「やあ、早かったね。息が上がってるけど、年のせい?」

クスクスと笑いながら、鳴海は千歳を出迎えた。       

「二人分の荷物を運んでるせーよ」

千歳は鳴海を上目使いに睨んだ。

「お手数かけます」

「…んで、首尾は?」

千歳は気を取り直して、カマをかけてみた。

「あれ…もしかして、分かっちゃった?何してたか」

「もーバレバレ…」

「なんだ、驚かせようと思ったのにね」

「…」

「結構ないね、あーゆー店って…探し回っちゃったよ」

「はいはい、お疲れ様です」

千歳は鳴海のセリフを軽く受け流した。

「…では、お待たせしました。行きましょうかね?」

「いざ、屋上へ!」

鳴海は制服のポケットから鍵を取り出すと、鍵穴に差し込んだ。
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