黄金時間が過ぎるまで
この少女″さえ″と鳴海は6年前、清音高校の文化祭で知り合っていた。

鳴海の兄が清音高校在学中、一度だけ文化祭に来た時だった…

普通と違う、その少女の存在に目を奪われていると、その子と目が合ってしまったのだ。

一般に幽霊と呼ばれている存在と、異なるものだとは分かっていた。が、霊感の多少ある鳴海とはいえ、全く他人の残留思念が見えるとは…

よほど波長が合ったとしか言いようがない。

この文化祭の時、鳴海はさえとある約束をしていた。

「お兄ちゃん、この学校に来てね、ぜったいね、さえとお話してね」

一方的にさえは約束すると、フッと消えてしまったのだった…




さえは6年前、初めて会った時から鳴海を気に入っていた。

何と言っても残留思念の自分と話が出来る相手は、鳴海が初めてだったからだ…

「さえねぇ、ずっとここに来たかったんだ〜ちゃんと生きていたら、ぜったい来るつもりだったの、この学校に」

さえは両手を広げると、力説した。
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