黄金時間が過ぎるまで
「…あの子さぁ…とある人物の残留思念でさ…自分が生まれ変わって、ここに来るのを待ってたんだって…6年前に知り合ったんだけど、その時に再会を約束させられちゃってね…」

「…はぁ…」

初めて見る、『あなたの知らない世界』に混乱している千歳を冷静に観察しながら、鳴海は続けた。

「…で、誰のだか知りたくない?」

薄笑いを浮かべた鳴海が、声のトーンをさげた…

「は?私が知ってる人なわけ?」

「ま・ね…」

「…誰?」

鳴海はまっすぐに千歳の目をとらえると、言った。

「…君だよ」



長い静寂の後、チャイムの音が鳴り響いた。

初夏のさわやかな風が、二人の間を通り抜けて行った…
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