黄金時間が過ぎるまで
「どうして?」

″…この子よっぽど、この場所に思い入れがあるんだな…こんなに強い存在として、残ってしまうぐらいに…″

「あのね、前にお父さんが、この学校につれて来てくれたの」

目を輝かせながら少女は言った。

「でみせがでてた、こうこうの人たちがすっごく楽しそうにしていたよ、今までに見たお祭りの中で一番おもしろかった」

″きっと文化祭の事だ…″

さえの言う事を、6年前の自分の思いと重ねて聞いていた。

″この子と同じ事を思っていたなぁ自分も…″

「お父さんとお母さんが、はじめてあった所なんだって〜」

「そうなんだ…」

鳴海は目を細めた。

″両親の思い出の場所だから、余計にこの子の思念は、いついてしまったのか…″


しばらく二人とも黙っていた。ふと気づいて鳴海は、さえにたずねた。

「…さえちゃん、もしかしてもう生まれ変わってる?」

さえと目が合った…

「うん、だからまってるの、その子のこと…ずっとよんでた」

過去形の表現になっている事に、鳴海は気づいた。
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